第21回 『日本とは“逆方向”に進化する、インドの便利・時短サービスアプリ』

『日本とは“逆方向”に進化する、インドの便利・時短サービスアプリ』

近年のインド都市部では、従来主流であった大家族制から核家族化が進み、女性の就業率も上昇しています。特にチェンナイやベンガルールなどの都市部では共働き世帯が増加しており、家事・買い物・食事などを効率化する「時短・便利サービス」への需要が急拡大しています。

その中でも近年急成長しているのが、スマートフォンを活用したデリバリーサービスです。インド発の食品・日用品デリバリーアプリ「Blinkit」や「Zepto」は、都市部の若い世代を中心に利用者を急速に増やしています。特に「Blinkit」は、“Blink(まばたき)する間に届く”をコンセプトにしており、住宅地周辺に配置された小型倉庫や提携店舗から商品を配送することで、牛乳、卵、野菜といった生鮮食品でも10分前後で届くケースがあります。

そのため、仕事帰りにスーパーへ立ち寄るよりも、「帰宅直前に夕飯の材料をアプリで注文する」ほうが便利だと感じる人も増えています。配送料も数十円程度で、一定金額以上は送料無料となる場合も多く、近所の店から新鮮な食材が届くため利用者も急増しています。Blinkit の週間アクティブユーザー数は約3,010万人とも言われており、都市部を中心に急速に利用が広がっています。最近は食品や日用品だけでなく、書類やデータの印刷・配送サービスなど、サービスの多角化も進んでいます。

また「Urban Company」は掃除や修理、美容サービスなどを自宅で受けられるアプリで、「Apollo 24/7」ではオンライン診療や薬の配送も可能となっており、家族や使用人が担っていた役割を、スマートフォン経由のサービスが補う形へと変化しています。

これらのサービスが急速に普及している背景には、インドの比較的安価な人件費があります。日本では人手不足を背景に自動化・省人化が進む一方、インドでは反対に「人が素早く運ぶ」ことで利便性を高めるサービスが急成長しています。今後も都市部を中心に、こうした時短・便利サービス市場の拡大が続くと見られています。共働き世帯の増加やライフスタイルの変化に伴い、「便利さ」や「時間を買う」ことへの需要はさらに高まっていくと考えられます。

インドではスマートフォンを活用したECやデリバリーサービスが急速に普及しており、消費者の購買行動も「店舗へ行く」から「アプリで注文する」方向へ変化しています。そのため、日本のように実店舗網を広げるだけでなく、ECプラットフォームやデリバリーサービスを活用した販売戦略も重要になりつつあります。食品、日用品、ヘルスケア、生活関連サービスなど幅広い分野で新たな市場が広がっており、愛媛県企業にとっても、インド市場への新たな参入機会となる可能性があります。

愛媛県インドサポートデスクでは、業界や製品ごとのインド市場調査や、インドビジネスに必要な税制・法制度に関する助言等を行っております(内容により専門機関への仲介等の有償サービスとなる場合があります)。現地担当者による情報発信も行っておりますので、インドビジネスに関心のある愛媛県企業様は、ぜひご活用ください。

野菜販売のリヤカー
インドの伝統的な市場
食品・日用品デリバリーアプリ「Blinkit」