第14回 『インドの造船業界 自国での造船を強化』

国土交通省の報告書によるとカーボンニュートラル(CN)対応船への転換などにより世界の新造船需要は増加の傾向にあり、2030年には倍増すると見込まれています。2025年9月24日にインド中央政府は、同国造船業に対し6,973億ルピー(約1.2兆円)の包括的支援策を閣議決定したと発表しました。

インドの造船の歴史は古く、紀元前2400年頃に現在のグジャラート州において世界初の造船所が建設されたと言われています。しかし現在の造船業の世界的シェアは1%に満たず、同国からの輸出入においてインド船籍船が運搬する割合も5%程度、造船コストも日本メーカーなどに比べ15~20%高い状態にあります。インド中央政府はこうした課題に対処するために海洋開発基金を設立し、造船分野への長期融資を提供するとともに将来的に造船に係る全ての機械設備、部品を国内で製造することとしています。

愛媛県インドサポートデスクがあるタミルナドゥ州においても、同州初となる造船に関する政策「Maritime Transport Manufacturing Policy 2025」が2025年3月に発表されました。9月には同州と国内造船大手「Cochin Shipyard」社との間で覚書が締結され、同社は今後、大型造船所の新設など1,500億ルピー(2,581億円)を投資と1万人以上の雇用創出を目指すと発表しました。同じく「Mazagon Dock Shipbuilders」社においても造船所の新設を発表するなど、この政策により州内の造船業の振興と技術革新、それに伴う雇用増が見込まれています。

インド中央政府は「造船業において目指すは日本やノルウェー企業だ」と述べており、2025年6月にノルウェーのオスロで開催された「ノルシッピング2025」では、寺田国土交通審議官とインドのサルナンダ・ソノワル港湾・海運・水路大臣らが出席する二国間会合が開催され、両国の海事政策について意見交換が行われました。また株式会社商船三井はインド企業と提携しインド国内でのタンカー建造を検討しているという報道もあり、今後も造船分野における日印のつながりがより深まりそうです。

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